なぜ?わざわざ仕訳を分けるのか
前回は指定正味財産として受け入れるべき特定資産の会計処理について考えてみました。そしてその処理については、↓仕訳例①のように仕訳を2行にわけて起票いたしました。
(仕訳例①)
普通預金(流動資産) / 受取寄付金(指定正味財産増減の部)
特定資産(固定資産) / 普通預金(流動資産)
どうして↓仕訳例②のように1行で起票しないのか?
(仕訳例②)
特定資産(固定資産) / 受取寄付金(指定正味財産増減の部)
これはPCA公益法人会計において、収支計算書用の仕訳が自動で起票される仕組みがあるためです。つづいてこの仕組みについてご説明いたします。
資金科目の増減
収支計算書とは、法人自身が資金と定義した勘定科目(以下、資金科目という)が増減したものを集計した計算書です。したがって収支計算書に表示されるべき取引(仕訳)には必ず資金科目が登場するはずですから、PCA公益法人会計では仕訳の中に資金科目があるかどうかで、収支計算書の仕訳を起票するかどうかを判断しています。
ここで仕訳例②の仕訳をもう一度確認していただきたいのですが、この仕訳には資金科目が一切登場していません。借方の特定資産は固定資産ですから資金科目には該当しません。(法人が資金科目と定義できる勘定科目は流動資産と流動負債のみです)したがってシステムは資金の増減が無いと判断しています。
一方、仕訳例①の場合は1行目にも2行目にも資金科目である普通預金(流動資産)が登場していますから、システムは資金の増減が発生していると判断しています。
資金諸口
実務上のテクニックとして、「資金諸口」という勘定科目を流動資産に作成した上で、資金科目に設定すると、収支計算書を正しく表示するための勘定科目として利用できます。
仕訳例③
資金諸口(流動資産) / 受取寄付金(指定正味財産増減の部)
特定資産(固定資産) / 資金諸口(流動資産)
会計システムの仕組みを意識した仕訳の起票方法となります。